NieR:Automata Cエンドの感想など

この記事はNieR:Automataのネタバレが大いに語られていますのでまだ本編を知らない人は自己責任で閲覧してください。

(↑この先にあの屈指のトラウマシーンが待ち受けているとは、初見ではなかなか想像できないでしょう…)

 

 

 

 

 

2023.3.27にやっとCエンドを終え、その後すぐにチャプターセレクトが解放されたことによりD、Eエンドも見ました。これにより私もストーリーはサブクエストに関わることを除き全て終えたと思います。

 

このゲームを端的に表すと「無意味vs記憶」です。

 

私が今までにプレイしてきたRPGはほとんど、というか全てが「悪い敵を倒すため」に主人公たちが行動しています。

しかし、NieR:Automataには機械生命体という「悪い敵」はいるものの、ヨルハ部隊は機械生命体と闘うための捨て駒であり、ヨルハ計画の元全て処分される予定でもはや闘うことも生きることも何もかもが無意味であるということを9Sは終盤で知ります。つまり「悪い敵」を倒そうと努力したところで何も良いことがありません。

このような絶望的に無意味なことを救うのは人に残る記憶ではないでしょうか?

そして無意味さに打ちひしがれる9Sと、2Bの記憶を引き継いだA2の決闘に準えて私は無意味の対になるものを記憶と表します。

 

この作品は悲しいお話となるので悪い敵を倒してめでたしめでたし、ではなく最後にプレイヤーに考えさせられることが多く残ります。

 

よって一通りプレイし終わった私も内容を覚えているうちに気付いたことや私なりに考察したことを述べていきます。

 

Ⅰ.2Bの死亡と9S

Cルート序盤は仲間のアンドロイド達がウイルスに汚染され、バンカーまでもが壊滅するところから始まります。司令官が2Bと9Sを突き放し2人で脱出させようとするシーン、ここでは「崩壊ノ虚妄」というBGMが流れます。「虚妄」はバンカーのことを指しているんですね。

 

 

そして地球に降り立った後、2Bもウイルスに汚染されてしまい、他のアンドロイドに感染させてしまう前にと自分の記憶をA2に託し、A2によって殺されます。これが引き金となり9Sは怒りに溺れ、その怒りがCルートでの彼の原動力となっていたと言えます。

大好きな2Bが殺されたことによる怒り、とも捉えられますが、私は「自分が殺したかった2Bを他人に殺された」ことによる怒りも含まれているのではないかと考えています。

Bルートでのアダムの「お前は2Bを……△※したいと、思っているんだろう?」というセリフ。

これは「犯したい/壊したい/殺したい」だと公式で明かされているそうです。

しかしA、Bルートにおいて9S自身の行動から2Bを殺したいと捉えられる描写は一切無いことから、彼の気付いていない深層心理で殺意を抱いていたか、殺意を自覚しているもののそれを隠していたかのどちらかだと私は考えます(もし前者ならアダムの言葉を聞いてもあそこまで取り乱さないと思うのでどちらかと言うと後者の方が有力だと思います)。

9Sは2Bに対して殺したいと思うほど歪んだ愛情を抱いていたのですね。

 

2Bを殺したA2、そして例え2Bが死んでも本来ならバンカーがあれば復活できたのに、それを壊した機械生命体。

この2つに9Sの怒りの矛先が向けられます。

 

Ⅱ.パスカルの村とA2

A2はその後、パスカルと出会います。

Bエンドまでは機械生命体のことを破壊する対象としか考えておらず、登場するキャラクターの中でも最も機械生命体を抹殺したがっていた彼女ですが、次第にパスカルには理解を示して助けるようになっていきます。

機械生命体に対する破壊衝動を爆発させる9Sと機械生命体を助けるようになるA2、この2人がとても対照的です。

 

しかし彼女の情も虚しく、パスカルの村は謎の機械生命体によって全滅し、パスカルは記憶を失います。

この場面もかなり絶望的です…。

 

Ⅲ.ヨルハ計画と9S

廃墟都市に現れた塔に入るために各地の資源回収ユニットに侵入する9Sはヨルハ計画とブラックボックスの正体を知ります。

 

ヨルハ計画というのは最初にも少し述べましたが、人類が既に絶滅していることを隠して「人類のために地球を奪還する」とヨルハ部隊を鼓舞して闘わせ、最終的にはヨルハ部隊を全て処分するというものです。つまり9Sたちアンドロイドは機械生命体と闘うための実験体に過ぎなかったのです。

そしてアンドロイドの核であるブラックボックスは機械生命体を元に作られたという事実も明かされます。ヨルハ部隊にはAIが搭載されていないということもここで分かります。

 

言葉を話し、コミュニティを作り、他人を愛するという行動をしていた機械生命体を「人類の真似事」と切り捨て、「機械生命体に知能なんてない」と言っていた9Sでしたが、それは全て自分たちにも当てはまっていたというわけです。

 

9Sはさらに壊れていきます。

(余談ですがアニメ版主題歌のAimerさんの「escalate」の歌詞「赦せなくてescalateして〜」は9Sのことを指していたのですね…)

 

 

Ⅳ.9S vs A2

塔の頂上にて、ついにこの2人が対峙します。

A2は塔を登る途中で知った2Bの正体を9Sに明かします。

 

2Bの正体は2E(executioner)であり、アンドロイドを処刑するのが仕事でした。

知能が高く、更に好奇心が旺盛な性格も持ち合わせる9Sはいずれヨルハ計画について気付くのではないか?とヨルハ計画の実行者は危惧していたため、9Sを2Eと一緒に行動させて9Sが真実に気付いたら2Eに命令して殺させていたのです。

 

A、Bエンドで2Bが最後に9Sの息の根を止めた時の2Bのセリフ「なんでいつもこんな…」はそういうことで、彼女はこれまでに何回も9Sを殺していたのです。

ここでA2が9Sに対して投げかけた「お前も気付いていたかもしれないが…」という言葉に9Sは返事をしていませんが、ニーアオートマタ攻略設定資料集に載っている小説によると9Sが2Bの正体を知っているという描写が明確にされています。

話が逸れますがこの小説で2Bは9Sのことを「ナインズ」と呼んでいます。しかし、どう足掻いても9Sを殺さなくてはいけない運命に何度も辿り着くうちに2Bは罪悪感で苦しみ、ゲーム本編になる頃にはその愛称で呼ぶのを辞めて9Sと親しくならないように努めました。

その一方で9Sは自分が何度も2Bに殺されていることを知っているので、9Sのことをナインズと呼ぶ「僕のことをよく知る親しい人」はかつての2Bを指していると予想できます。

辛そうに自分を殺す2Bを見ていくうちに、愛する人を殺すのはどんな感覚なのかという好奇心と、そんな辛い顔をして欲しくない、自分が同じことをする時は笑顔で、喜んで殺したいという感情が芽生えていったのではないかというのが私の個人的な考えです。

 

話を元に戻すと、Cエンドは最後の決戦で操作するキャラクターをA2にした場合に見ることができます。

つまりA2が勝利した場合。

A2は最後9Sをハッキングして彼を汚染から救い、塔と共に消えます。

空を見上げてこう言い残しながら。

 

「こんなに世界が綺麗だったなんて…気付かなかったな…」

 

自分を捨てた司令部、そして機械生命体への憎みから世界の何もかもを嫌っているように見えていたA2でしたが、最後は世界の美しさを知るのでした。

 

CエンドでもDエンドでもA2は死んでしまいますがDエンドだと何も救われずにA2が9Sに殺されてしまうので、私はCエンドの方が好きです。

ただし、Dエンドだと9S、アダムやイヴの記憶が宇宙へ打ち上げられ確かにどこかに存在することになるので、9Sは死んでしまったもののこちらのエンディングでは救われているのかな…とも思います。

 

長々と語りましたが私からしたCエンドの感想は以上になります。

まだNieRのことを全ては知らないのでこれから知見が広がって意見も変わればその都度この記事も加筆しようと思います。

 

ここまでご覧いただきありがとうございました。